木枠やバネ、生地など様々な材料から作られるソファ。
今回のマガジンでは、ソファの印象を大きく左右するマストアイテム、ソファ生地に着目!
生地の開発、調達から管理までを担う部門「NOYES International」を牽引する松尾麻友子さんに、生地の魅力やNOYESのソファづくりを教えてもらいました。
ソファの存在感を左右する!ファブリックの魅力
生地に触れたときの感覚、
ファーストインプレッションは記憶されるものなんです
座ったときに触れる生地の感触は、ソファの第一印象=ファーストインプレッションとして、強く記憶に残るものです。そのため、「肌触り」の良さもとても大切にしています。肌あたりのやさしい生地を選んでいただくことで、座った瞬間から心地よさを感じていただける。それが、生地が担う大切な役割のひとつだと考えています。
ソファって生地に覆われているものなので、生地によって表情がガラリと変わります。特にファブリックでは、糸の種類や組み合わせ、織り方や染め方によって、多様な表情が生まれます。そのため、毎年数多くの新しい生地が生まれています。こうした多彩さこそが、ファブリックの奥深く飽きない魅力なのです。
テキスタイルMDが選ぶ、今感じて欲しい”推し生地”とは?
ずばり「DMシリーズ」。このシリーズが私の推し生地です
DMシリーズは、一見とてもシンプルなキャンバス生地のように見えますが、実は毛足のあるシェニール糸と毛足のないフィラメントの糸を組み合わせることで、他にはない独自の表情と風合いがあり魅力的です。
DMシリーズは、二重織といって、表と裏の組織が違うんですよ。そのおかげで大変丈夫です。張った時の張り映えもとても美しいです。個性を主張しすぎない生地なので、どんなスタイルにも溶け込んで、さりげない、落ち着いた上質なソファに仕上げてくれる生地ですね。
表面の引っかきにも強く、洗濯機でも洗えますので、幅広い環境で使っていただけるところも魅力です。いいところがたくさんあって、感触もスッキリしているので、これからあたたかい季節になっても使いやすいと思います。
ソファの生地として流行っているファブリックとその理由
最近は明るめのトーンが定番で、質感の良さが引き立つような生地が特に人気です
NOYESのソファは普遍的で長く愛されるデザインを大切にしています。生地も無地を中心に展開しており、最近では特に、織り感が少なく、質感の良さが際立つような生地が人気です。カラーではアイボリー系、ベージュ系、グレージュなど、柔らかな色味を選ばれる傾向にあります。これまではブルーや濃いめのグレーといった、都会的でクールな印象のカラーが人気でしたが、ここ最近は変化が見られます。社会情勢の変化も影響してか、「かっこよさ」よりも「やさしさ」や「ぬくもり」を感じられるカラーを選ばれる方が増えています。また、色のトーンも明るめが好まれ、濃いめのカラーは選ばれることは少なくなりました。
NOYESのソファづくりでファブリックを選ぶ基準
丈夫で、やさしく、美しい
毎日使うものだからこそ、摩擦、汚れ、引っ張りに耐え、長い時間耐えて美しい状態で保てる生地を選んでいます。
次に大事にしてるポイントは肌触り。快適な質感を大切にしています。
そしてデザイン。ソファって一生に何回も買い替えるのではなく、10年以上使われる方が多いものですので、10年先を見据えた時にも古さを感じさせず、ずっと愛され続けるデザインを意識して選んでいます。
さらに細かいポイントとして、張った時の張り映えやシワの出方、お手入れのしやすさも重要です。汚れが目立ちにくいことや、手入れが簡単であることといった、使い勝手の良さを大切にしています。生地にはそれぞれの特徴がありますが、その特徴が個性的であり、かつ生地としてバランスがとれているかという点も慎重に見ています。最後に生地のラインナップ全体のバランスにも配慮し、ベーシックなものから少し個性的な生地まで、調和の取れたラインナップを揃えるよう心がけています。
NOYESのソファはどこに魅力があるのでしょうか?
製造から販売まで自社一貫したソファづくりであることです
普段、私はお客様と直接接する機会はあまり多くありませんが、基本的にはお客様の声がすぐに届く環境で仕事をしています。時にはショールームに立って接客のサポートを行うこともあり、その場でお客様のリアルな声をキャッチして、製品づくりやサービス向上にすぐに反映ができるのが、私たちの一番の強みです。
2015年、
NOYES International立ち上げ
あらゆる業務を経て、生地部門を担うことに
入社して今年で19年目になります。
最初はカスタマーサポートとして、お客様対応や生地請求の業務など、非対面のサポート業務を担当していました。その後、ショールームでの接客や、カタログ制作など、さまざまな業務を経験させていただきました。そんな中、2015年に「生地に特化した会社を立ち上げる」という新しいプロジェクトが始動し、私はそのメンバーに選ばれました。当時は秘書室に所属し、社長のすぐそばで仕事をしていたのですが、このプロジェクトを任せていただいたことが、今の私のキャリアの大きな転機となりました。
ソファ作りに欠かせない、生地やウレタン、木枠、バネなどの仕入れ先様との仕事するのは初めてでしたが、ものづくりの現場に深く関わる中で、1台のソファが完成するまでに必要な品質管理や、その大変さを実感しました。私たちはソファを企画・製造・販売していますが、その背景には、たくさんの仕入れ先様の支えがあるということを今は強く感じています。そうした経験を通して、より一層、自社の製品が好きになりました。今は、「ますます自信を持ってソファをお届けできている」そんな思いでこの仕事に向き合っています。